ECサイトを始めたいけれど、どの種類を選べばいいかわからないそんな悩みを抱えていませんか?
実は、ECサイトには大きく分けて9つの主要な種類があり、それぞれ特徴や適用場面が大きく異なります。間違った種類を選んでしまうと、運用コストが予想以上にかかったり、思うような集客ができなかったりする可能性があります。
この記事では、ECサイトの全種類を図表付きでわかりやすく解説し、あなたのビジネスに最適な選択肢を見つけるためのポイントをお伝えします。ネットショップ初心者の方でも迷わず選択できるよう、具体的な事例や選定フローチャートも用意しました。
最後まで読めば、自社にぴったりのECサイトの種類が明確になり、成功への第一歩を踏み出せるでしょう。
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目次
ECサイトの種類とは?主要なタイプをわかりやすく解説

ECサイトの種類とは、システムの構築方法や運営スタイルによって分類されるECサイトのタイプのことです。技術的な仕組みから販売手法まで、様々な観点で分類することができます。
現在のEC市場では、主に以下の9つの種類が代表的とされています:
- 自社ECサイト(直販型)
- ショッピングモール型ECサイト
- ASP・クラウド型ECサイト
- オープンソース型ECサイト
- フルスクラッチ型ECサイト
- 越境ECサイト
- BtoB ECサイト
- 定期通販・サブスクリプションECサイト
- 単品通販型ECサイト
それぞれ初期コスト、運用コスト、集客力、カスタマイズ性などが大きく異なるため、事業規模や目的に応じた適切な選択が重要になります。
なぜECサイトの「種類」を知る必要があるのか?
ECサイトの種類を知ることは、事業成功の鍵を握る重要な要素です。なぜなら、選択した種類によって以下の要素が大きく左右されるからです。
コスト面への影響
- 初期構築費用:数万円~数千万円と大きな差
- 月額運用費用:無料~数十万円の幅
- 手数料体系:売上に対する手数料率が0~20%と様々
集客・販売面への影響
- 集客チャネルの違い:モール内集客 vs 自力集客
- ブランディングの自由度:独自性 vs 統一性
- 顧客データの所有権:自社保有 vs プラットフォーム依存
運用・拡張面への影響
- 機能のカスタマイズ性:制限あり vs 自由度高
- システム連携の可能性:API制限 vs 柔軟な連携
- 将来的な拡張性:スケールアップの容易さ
ECサイトの種類選びは「家を建てる時の工法選び」に似ています。建売住宅(モール型)は手軽だが制約があり、注文住宅(自社EC)は自由度が高いが手間とコストがかかります。
適切な種類を選ぶことで、限られたリソースを最大限活用し、事業成長を加速させることができるのです。
代表的なECサイトの種類一覧

ここでは、現在のEC市場で主流となっている9つの種類について、それぞれの特徴と代表例を詳しく解説します。どの種類が自社のビジネスモデルに適しているか、イメージしながら読み進めてください。
自社ECサイト(直販型)
自社ECサイトは、企業が独自のドメインとデザインで運営するECサイトです。完全な独立性を持ち、ブランディングから顧客データまで全てを自社でコントロールできるのが最大の特徴です。
主な特徴
- 独自ドメインでの運営(例:company.com)
- オリジナルデザインの実現
- 顧客データの完全所有
- 売上手数料なし(決済手数料のみ)
代表例
- ユニクロオンラインストア
- 無印良品ネットストア
- 北欧、暮らしの道具店
適用場面
- 確立したブランドを持つ企業
- 顧客との直接的な関係性を重視する場合
- 中長期的な事業展開を見据えた企業
自社ECサイトはブランドの世界観を最大限表現でき、顧客ロイヤルティの向上に優れています。ただし、集客は全て自力で行う必要があるため、マーケティング戦略が成功の鍵となります。
ショッピングモール型ECサイト(楽天・Amazon等)
ショッピングモール型ECサイトは、楽天やAmazonなどの大型ECプラットフォーム内に出店する形態です。既存の巨大な集客力を活用できるのが最大のメリットです。
主な特徴
- モール内の既存顧客へのアプローチ
- モール側が提供する決済・物流システム
- 売上に応じた手数料の発生
- モールのルールに従った運営
代表的なモール
| モール名 | 特徴 |
|---|---|
| 楽天市場 | 日本最大級、リピート率高 |
| Amazon | 圧倒的な配送力、FBA |
| Yahoo!ショッピング | 出店料無料、PayPay連携 |
適用場面
- EC初心者で集客に不安がある場合
- 短期間での売上立ち上げを目指す場合
- 商品力に自信があるが認知度が低い場合
手数料体系の詳細理解が重要
モール型ECの手数料は複雑な体系になっているため、きちんと理解をしておくことが重要です:
- 必須手数料:出店・システム利用料(月額)、売上手数料(販売額の数%)
- 任意手数料:広告費、ポイント原資負担、プロモーション参加費
- 変動要素:売上高、カテゴリ、プラン、モバイル・PC別など
実際の負担率を算出する際は、必須手数料だけでなく、効果的な集客のための任意手数料も含めて検討することが重要です。
UREBAラボ
モール型は「デパートのテナント」のようなもの。立地(集客力)は抜群だけど、家賃(手数料)は高く、内装(デザイン)の自由度は限られます。
ブランディングよりも売上重視の事業者には非常に有効な選択肢です。
ASP・クラウド型ECサイト
ASP・クラウド型ECサイトは、クラウド上で提供されるECサイト構築サービスを利用する形態です。初期コストを抑えながら自社ECサイトを構築できるのが特徴です。
主な特徴
- 月額料金制(数千円~数万円)
- 豊富なテンプレートとカスタマイズ機能
- セキュリティ・バックアップの自動対応
- アップデートの自動適用
代表的なサービス
適用場面
- 中小企業の自社EC立ち上げ
- 技術的な知識が限られている場合
- スピーディーな事業開始を重視する場合
ASP・クラウド型は技術的ハードルが低く、EC初心者でも本格的な自社ECサイトを構築できます。機能とコストのバランスが取れた、現在最も人気の高い選択肢です。
オープンソース型ECサイト
オープンソース型ECサイトは、無料で公開されているECサイト構築システムを使用する形態です。高度なカスタマイズが可能で、技術力があれば非常に自由度の高いサイトが構築できます。
主な特徴
- ソフトウェア自体は無料
- ソースコードの改変が可能
- 豊富なプラグイン・拡張機能
- 技術的知識が必須
代表的なシステム
- EC-CUBE:日本製、国内シェア高
- WooCommerce:WordPress向けのプラグイン
- Adobe Commerce:大規模サイト向け
適用場面
- 開発リソースが豊富な企業
- 独自性の高い機能が必要な場合
- 長期的なコスト削減を重視する場合
オープンソース型は初期コストこそ抑えられますが、開発・保守・セキュリティ対応に専門知識が必要です。人件費を含めると決して安価とは言えない場合があります。
フルスクラッチ型ECサイト
フルスクラッチ型ECサイトは、既存のパッケージを使わずゼロからシステムを開発する形態です。完全にオリジナルなシステムを構築でき、あらゆる要求に対応可能です。
主な特徴
- 100%オリジナルシステム
- 無制限のカスタマイズ性
- 高額な開発・保守コスト
- 長期的な開発期間
開発コストの目安
| 規模 | 開発期間 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 小規模 | 3-6ヶ月 | 500-1,500万円 |
| 中規模 | 6-12ヶ月 | 1,500-5,000万円 |
| 大規模 | 12ヶ月以上 | 5,000万円以上 |
適用場面
- 大企業の基幹システム
- 既存パッケージでは実現不可能な機能が必要
- 競合他社にない独自性を追求する場合
フルスクラッチ型は最高の自由度を提供しますが、莫大なコストと時間を要するため、よほど特殊な要件がない限り推奨されません。
越境ECサイト(海外販売対応型)
越境ECサイトは、海外顧客への販売に特化したECサイトです。多言語・多通貨対応や国際配送機能が標準装備されているのが特徴です。
主な特徴
- 多言語対応(英語、中国語等)
- 多通貨決済
- 国際配送料の自動計算
- 各国の法規制対応
代表的なサービス
- Shopify Plus:グローバル対応強化
- Live Commerce:アジア圏特化
- WorldShopping:既存サイト海外対応
適用場面
- 海外市場への展開を計画している企業
- インバウンド需要を取り込みたい場合
- 国内市場の飽和により新市場を求める場合
越境ECの市場規模は年々拡大しており、特にアジア圏での日本商品の需要は高まっています。ただし、各国の法規制や物流、言語対応など、国内ECとは異なる課題があることを理解しておく必要があります。
BtoB ECサイト(法人向け取引)
BtoB ECサイトは、企業間取引に特化したECサイトです。大口注文、掛け決済、階層的な承認フローなど、法人取引特有の機能が充実しています。
主な特徴
- 会員グレード別価格設定
- 掛け決済・請求書発行
- 大口注文対応
- 承認ワークフロー
BtoC ECとの主な違い
| 項目 | BtoC EC | BtoB EC |
|---|---|---|
| 顧客数 | 多数の個人 | 限定的な法人 |
| 注文単価 | 低額 | 高額 |
| 決済方法 | カード・代引き | 掛け・銀行振込 |
| 購買プロセス | 即決 | 稟議・承認 |
適用場面
- 製造業・卸売業の販売チャネル拡大
- 既存の法人顧客との取引効率化
- 営業リソースの最適化
BtoB ECは一件あたりの取引額が大きく、導入効果が高い傾向にあります。営業効率の向上と顧客満足度の向上を同時に実現できる有効な手段です。
定期通販・サブスクリプションECサイト
定期通販・サブスクリプションECサイトは、継続的な商品・サービス提供に特化したECサイトです。安定的な売上確保と顧客LTV(生涯価値)の最大化が可能です。
主な特徴
- 自動継続決済
- 配送周期の設定
- 休止・解約管理
- LTV向上機能
定期通販の商材例
- 健康食品・サプリメント
- 化粧品・スキンケア
- 食品・飲料
- 日用品・消耗品
適用場面
- リピート性の高い商材を扱う場合
- 安定収益の確保を重視する場合
- 顧客との長期関係構築を目指す場合
サブスクリプションモデルは、顧客獲得コスト(CAC)を生涯価値(LTV)で回収する仕組み。LTV/CACが3倍以上になると健全なビジネスモデルとされています。
解約率の管理が重要で、商品の品質向上と顧客サポートの充実が成功の鍵となります。
単品通販型ECサイト(D2Cなど)
単品通販型ECサイトは、特定の商品に特化したECサイトです。商品の魅力を最大限伝えることに集中し、高いコンバージョン率を実現します。
主な特徴
- 1つの商品に特化したサイト設計
- ストーリー性のあるブランディング
- 詳細な商品説明と訴求
- D2C(Direct to Consumer)モデル
成功事例
- FABRIC TOKYO:オーダースーツのD2C
- BULK HOMME:メンズコスメの単品訴求
- BASE FOOD:完全栄養食の定期販売
適用場面
- 独自性の高い商品を持つ場合
- ブランドストーリーを重視する場合
- 限定的な商品ラインナップの場合
単品通販型は商品力とブランディングが成功の要因となります。SNSマーケティングとの相性も良く、若年層をターゲットとしたD2Cブランドで多く採用されています。
各ECサイト種類の特徴・メリット・デメリット

ECサイトの種類を選ぶ際は、それぞれのメリットとデメリットを正確に理解することが重要です。ここでは、コスト、集客、カスタマイズ性の3つの観点から比較分析します。
コスト・運用負担・導入ハードルの違い
初期コストと運用負担は、ECサイト選択の重要な判断基準です。以下の表で各種類のコスト構造を比較してみましょう。
ECサイト種類別コスト比較表
| 種類 | 初期コスト | 月額コスト | 売上手数料 | 導入期間 | 運用負担 |
|---|---|---|---|---|---|
| モール型 | 低(5-50万円) | 低(1-5万円) | 中(4-7%程度) | 短(1週間-1ヶ月) | 低 |
| ASP・クラウド型 | 低(10-100万円) | 中(1-10万円) | 無-低(0-3%) | 短(1-3ヶ月) | 低-中 |
| オープンソース | 中(50-300万円) | 低(1-5万円) | 無 | 中(3-6ヶ月) | 高 |
| フルスクラッチ | 高(500-5,000万円) | 高(10-100万円) | 無 | 長(6-18ヶ月) | 高 |
コスト面での注意点
- 初期コストの安さに惑わされず、運用コストを含めた総合判断が重要
- 売上手数料は売上規模が大きくなるほど負担が重くなる
- 隠れたコスト(カスタマイズ、サポート、セキュリティ対応)も考慮が必要
「無料」「格安」を謳うサービスでも、実際の運用では追加費用が発生するケースが多くあります。契約前に総コストを必ず確認しましょう。
導入ハードルの評価
- 技術的難易度:専門知識の必要性
- 初期投資:予算との適合性
- 導入期間:事業スケジュールとの整合性
- 運用体制:社内リソースとの適合性
集客・販売チャネルの幅と強み
集客力は、ECサイトの成功を左右する最重要要素の一つです。各種類の集客特性を理解し、自社のマーケティング戦略と照らし合わせましょう。
集客チャネル別の特徴
モール型ECサイト
- 強み:既存顧客基盤、モール内検索、特集企画
- 弱み:競合との価格競争、ブランディング制限
- 適用例:商品力重視、認知度向上段階
自社ECサイト
- 強み:SEO、ブランディング、顧客データ活用
- 弱み:ゼロからの集客、継続的投資必要
- 適用例:ブランド確立済、長期戦略重視
集客施策の組み合わせ例
- 立ち上げ期:モール型で認知度向上 → 自社ECで囲い込み
- 成長期:ASP型で自社EC構築 → 多チャネル展開
- 成熟期:フルスクラッチで差別化 → 独自価値提供
デジタルマーケティングとの親和性
- SNS連携:自社ECの方が柔軟な施策展開が可能
- メール配信:顧客データの所有権により効果が変わる
- コンテンツマーケティング:ブランディング重視なら自社EC優位
UREBAラボ
集客は「種まき」と「刈り取り」の両方が大切。モール型は即効性があるけど、自社ECは時間をかけて育てる必要があります。
カスタマイズ性・拡張性・対応可能商材の違い
カスタマイズ性と拡張性は、事業成長に伴うシステム対応力を決定します。将来的な展開計画を考慮した選択が重要です。
カスタマイズ性比較
| 種類 | デザイン | 機能追加 | システム連携 | 独自仕様 |
|---|---|---|---|---|
| モール型 | ★☆☆ | ★☆☆ | ★☆☆ | ★☆☆ |
| ASP・クラウド型 | ★★☆ | ★★☆ | ★★☆ | ★☆☆ |
| オープンソース | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★☆ |
| フルスクラッチ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
対応可能商材の違い
制限の少ない商材
- 一般的な物販商品
- デジタルコンテンツ(音楽、電子書籍等)
- 食品・日用品
制限が厳しい商材
- 医薬品・医療機器
- 酒類(免許が必要)
- 金融商品
- アダルト関連
特殊な販売方法への対応
- オークション機能:独自開発が必要な場合が多い
- 受注生産:在庫管理システムとの連携が重要
- カスタマイズ商品:詳細な仕様管理機能が必要
事業拡大時によくある問題は「システムの制約で新しい施策ができない」こと。将来のビジョンを明確にして、それに対応できる拡張性を重視しましょう。
システム連携の重要性
- 在庫管理システム:リアルタイム在庫更新
- 会計システム:売上データの自動連携
- CRM:顧客データの一元管理
- 物流システム:出荷指示の自動化
これらの連携可能性は、ECサイトの種類によって大きく異なります。業務効率化の観点からも、システム連携を考慮した選択が重要です。
自社に合うECサイトの種類を選ぶポイント

ECサイトの種類選びで失敗しないためには、自社の状況を正確に把握し、目的に応じた選択基準を設定することが重要です。ここでは実践的な選び方をお伝えします。
目的・商材・ターゲット別のおすすめ種類
事業目的別の推奨種類
売上最大化を重視する場合
- ECサイト種類:ショッピングモール型(楽天・Amazon)
- 理由:既存の巨大な顧客基盤を活用可能
- 注意点:手数料負担と価格競争のリスク
ブランディングを重視する場合
- ECサイト種類:自社ECサイト(ASP・クラウド型)
- 理由:独自の世界観表現とブランド体験の提供
- 注意点:集客に時間とコストが必要
コストを最小限に抑えたい場合
- ECサイト種類:ASP・クラウド型(BASE、Shopify等)
- 理由:初期コスト・月額コストの両方が抑えられる
- 注意点:機能制限と将来的な拡張性
商材別の適合性
| 商材タイプ | 推奨種類 | 理由 |
|---|---|---|
| ファッション・アパレル | 自社EC + モール型 | ブランディング + 集客力の両立 |
| 食品・グルメ | モール型メイン | 信頼性と配送の安心感 |
| 化粧品・美容 | 定期通販型 | リピート購入の仕組み作り |
| 家電・PC | モール型 | 価格比較での優位性確保 |
| 書籍・雑貨 | ASP・クラウド型 | コストと機能のバランス |
ターゲット別の選択指針
若年層(10-30代)メイン
- SNS連携重視:自社EC(Shopify等)
- 価格重視:モール型
- トレンド重視:単品通販型
中高年層(40代以上)メイン
- 安心感重視:大手モール型
- 利便性重視:ASP・クラウド型
- 高品質商材:自社EC
法人顧客メイン
- BtoB専用機能:BtoB EC特化型
- 大口取引:オープンソース型
- 既存システム連携:フルスクラッチ型
規模・リソース・予算別の選定フローチャート
予算別選定フローチャート
予算100万円未満
├─ 即座に販売開始したい → モール型EC
├─ 独自性を重視 → ASP・クラウド型(エントリープラン)
└─ 技術力あり → オープンソース型
予算100-500万円
├─ 成長スピード重視 → ASP・クラウド型(プロプラン)
├─ カスタマイズ重視 → オープンソース型
└─ 安定性重視 → パッケージ型
予算500万円以上
├─ 独自機能必須 → フルスクラッチ型
├─ 海外展開予定 → 越境EC特化型
└─ 大規模B2B → BtoB EC専用
社内リソース別の判断基準
技術者なし・少数
- 推奨:モール型、ASP・クラウド型
- 避けるべき:オープンソース型、フルスクラッチ型
- 理由:保守・運用の技術的ハードルが高い
技術者1-2名
- 推奨:ASP・クラウド型、オープンソース型
- 条件付き推奨:パッケージ型(サポート重視)
- 理由:ある程度のカスタマイズ対応が可能
技術チーム3名以上
- 推奨:オープンソース型、フルスクラッチ型
- 理由:高度なカスタマイズと継続的な開発が可能
社内リソースは「現在の状況」だけでなく「将来の体制」も考慮しましょう。人材の確保や育成計画も重要な判断要素です。
段階的な移行戦略
多くの成功企業は、段階的にECサイトの種類を変更しています:
- 第1段階:モール型で市場テスト・認知度向上
- 第2段階:ASP型で自社EC構築・ブランディング強化
- 第3段階:オープンソース・フルスクラッチで差別化
この戦略により、リスクを抑えながら段階的に成長することが可能です。
ECサイトの種類選びでよくある質問・注意点

ECサイトの種類選びでは、多くの企業が共通して悩むポイントがあります。ここでは、実際によく寄せられる質問と、失敗を避けるための注意点をまとめました。
「複数種類を組み合わせる」のはアリ?
複数のECサイト種類を組み合わせる戦略は、多くの成功企業が採用している手法です。それぞれの特徴を活かしたハイブリッド戦略について解説します。
効果的な組み合わせパターン
パターン1:モール型 + 自社EC
- 戦略:モールで認知度向上 → 自社ECでブランディング
- メリット:集客力とブランディングの両立
- 注意点:在庫管理と価格統一の複雑さ
パターン2:自社EC + 定期通販
- 戦略:単発購入から継続購入への誘導
- メリット:顧客LTVの最大化
- 注意点:システム連携とデータ管理
パターン3:国内EC + 越境EC
- 戦略:国内で実績作り → 海外市場展開
- メリット:市場リスクの分散
- 注意点:運用負荷とコストの増加
組み合わせ時の注意点
| 項目 | 課題 | 解決策 |
|---|---|---|
| 在庫管理 | 複数チャネルでの在庫同期 | 在庫管理システムの導入 |
| 価格設定 | チャネル間の価格矛盾 | 価格戦略の明確化 |
| ブランディング | 一貫性の維持 | ブランドガイドラインの策定 |
| 顧客データ | 分散した顧客情報 | CRM統合システムの活用 |
段階的な展開スケジュール例
第1年目:メインチャネル確立
├─ モール型ECで売上基盤構築
└─ 市場反応とノウハウ蓄積
第2年目:チャネル拡大
├─ 自社ECサイト立ち上げ
└─ ブランディング強化
第3年目:最適化・新展開
├─ 収益性の高いチャネルに注力
└─ 越境EC等の新市場開拓
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複数チャネル運営は「楽器の演奏」に似ています。一つ一つは単純でも、全体の調和を取るには相当な練習(経験)が必要です。
法規制・セキュリティ・今後のトレンドは?
法規制への対応
ECサイト運営には、様々な法的要件があります。種類によって求められる対応レベルが異なるため、事前の確認が重要です。
主要な法規制
ECサイト種類別の法規制対応
| 種類 | 対応レベル | 備考 |
|---|---|---|
| モール型 | モール側が一部サポート | 基本的な部分は自社対応必要 |
| ASP・クラウド型 | テンプレート・機能で支援 | 最新法改正への対応は自社責任 |
| 自社開発型 | 全て自社対応 | 専門知識と継続的なメンテが必要 |
セキュリティ対策の重要性
ECサイトが対応すべきセキュリティ要件
- SSL証明書:通信の暗号化
- PCI DSS:カード決済のセキュリティ基準
- 脆弱性対策:定期的なセキュリティ更新
- 不正利用対策:3Dセキュア等の導入
種類別セキュリティ対応
- モール型・ASP型:基本的なセキュリティは提供側が対応
- オープンソース型:定期的な更新とセキュリティパッチ適用が必要
- フルスクラッチ型:全てのセキュリティ対策を自社で実装
セキュリティインシデントは企業の信頼失墜に直結します。技術的知識が不足している場合は、セキュリティ対応が充実したサービスを選択することを強く推奨します。
2025年以降のECトレンド
技術的なトレンド
- AI・機械学習:パーソナライゼーション、レコメンド機能
- AR/VR:商品の仮想試着、空間体験
- 音声コマース:スマートスピーカー経由での購入
- ヘッドレスコマース:フロントエンドとバックエンドの分離
市場・顧客行動のトレンド
- サステナビリティ:環境配慮への関心の高まり
- ソーシャルコマース:SNS経由での購入増加
- オムニチャネル:オンライン・オフラインの垣根の消失
- D2C:メーカー直販の拡大
選択時に考慮すべき将来性
- 拡張性:新技術への対応可能性
- 柔軟性:市場変化への適応力
- 持続性:長期的な運用体制の構築
これらのトレンドを踏まえ、将来的な拡張性を重視したECサイト種類の選択が重要になっています。
【まとめ】ECサイトの種類と自社に合う選び方

本記事では、ECサイトの9つの主要な種類とその特徴、選び方のポイントを詳しく解説しました。最後に、成功するECサイト選択のための重要なポイントをまとめます。
ECサイト種類選択の基本原則
1. 目的の明確化が最優先
- 売上最大化 vs ブランディング重視
- 短期的成果 vs 長期的成長
- コスト重視 vs 機能・拡張性重視
2. 自社リソースの正確な把握
- 予算(初期・運用・将来投資)
- 人的リソース(技術力・運用体制)
- 時間(導入期間・運用開始時期)
3. 段階的成長戦略の検討
- 現在の最適解と将来の最適解は異なる場合がある
- 段階的な移行・拡張を前提とした選択
- 複数チャネルの組み合わせも有効
種類別の推奨シーン早見表
| シーン | 推奨種類 | 理由 |
|---|---|---|
| EC初心者・テスト販売 | モール型 | 低リスク・早期収益化 |
| ブランド重視・中長期戦略 | ASP・クラウド型 | バランスの良いコストと機能 |
| 技術力あり・独自性重視 | オープンソース型 | 高いカスタマイズ性 |
| 大企業・特殊要件 | フルスクラッチ型 | 完全な自由度 |
| 海外展開予定 | 越境EC特化型 | 多言語・多通貨対応 |
| 法人顧客メイン | BtoB EC | 法人取引特化機能 |
| リピート商材 | 定期通販型 | 継続課金システム |
| 単一商品・D2C | 単品通販型 | 商品特化の訴求力 |
失敗を避けるための最終チェックポイント
✓ コスト面
- 初期費用だけでなく、運用費用も含めた総コスト
- 売上規模拡大時のコスト変動
- 隠れたコスト(カスタマイズ、サポート等)の確認
✓ 機能面
- 必要最低限の機能がカバーされているか
- 将来的な機能拡張の可能性
- 他システムとの連携可能性
✓ 運用面
- 社内リソースで運用可能か
- サポート体制は充実しているか
- セキュリティ・法規制対応は適切か
✓ 成長面
- 事業拡大に対応できる拡張性があるか
- 市場変化への適応力があるか
- 移行時のリスクは許容範囲内か
ECサイトの種類選びは「結婚相手選び」に似ています。完璧な相手はいないので、自分にとって何が最も重要かを明確にして、優先順位をつけることが成功の鍵です。
収益化済み事業の購入という選択肢
なお、ゼロからECサイトを構築する以外に、既に収益化している事業を購入するという選択肢もあります。ラッコM&Aでは、ECサイトをはじめとした様々なオンライン事業の売買が活発に行われており、立ち上げリスクを抑えながら事業をスタートすることも可能です。
最後に
ECサイトの種類選択は、事業成功の土台を決める重要な意思決定です。この記事で紹介した選択基準と事例を参考に、自社に最適なECサイトの種類を見つけて、EC事業の成功に繋げてください。
技術の進歩とともにECサイトの選択肢は今後も拡がっていきますが、基本的な選択の考え方は変わりません。目的を明確にし、リソースを正確に把握し、将来性を見据えた選択を行うことで、必ず成功につながるECサイトを構築できるでしょう。

