【税理士監修】サイト売買にかかる税金を解説!法人か個人による違いも紹介

税務署の外観

サイト売買の税金

サイト売買とは、運営するウェブサイトを他者に売却する一連の流れのことです。2005年頃から、一部のサイト運営者同士の間では行われていましたが、近年、節税目的でサイト買収を行う法人や、副業で運営していたサイトを売却する個人などが急速に増えているため、サイト売買をめぐる税金の問題が多数発生しています。

ネット上の情報では、サイト売買に関する税金について統一的な回答が出ているとは言えず、どの情報も異なる見解を示している状況です。実は、法人か、個人か、どのようなサイトが売買されたのかなどの要因によって、発生する税金が変わるため、いずれも間違いとは言い切れません。しかし、それら情報を鵜呑みにしてしまうと、ご自身には当てはまらないケースもあり、大きな問題に繋がる可能性があります。

 税理士の長谷川先生
税理士・東京福祉大学兼務講師
長谷川紀央
この記事では、法人買主、個人買主、法人売主、個人売主の計4パターンに分類してサイト売買の税金を解説します。また、サイトだけ売買するのか、会社ごと売買するのかによっても税金は変わりますので、その点についても説明します。

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※最終的な税務判断は顧問税理士や税務署などの専門家にご確認下さい


サイト売買における買主の税金

・購入したサイトは資産計上し、5年かけて償却されることが一般的
・例外として、低額のサイトを購入した場合等は一括償却できる場合も
・会社ごと購入した場合、費用計上はできない

法人がサイトだけ購入した際の税金

サイトを買収した場合の費用は税務上損金として扱われるため、節税対策として有効です。ただし、『今年は本業の利益が上がっているから、サイト買収をして節税しよう』というような目的でサイト買収する場合には注意が必要です。

サイト買収に使った金額全てがその年の損金にはならないケースがあります(複数年に渡る節税効果を期待される場合は効果があります)。詳しく説明していきます。

ウェブサイト買収は税務上、
A.ウェブサイトそれ自体
B.検索や買い物機能などの高度なシステム
の2つに分けて把握する必要があります。

Aについては、使用期間が1年を超える場合には原則、使用期間に応じて費用配分する必要があり、購入した初年度に一括して費用計上はできないことがあります。例えば、投資回収期間が1年を超える場合には、サイトの使用期間が複数年に渡ると考えるのが一般的でしょう。1年以内の場合には広告宣伝費、複数年に渡って償却する場合は長期前払費用として計上することになります。

またBの費用については会計上ソフトウェア(無形固定資産)として扱われ、原則、5年かけて減価償却しなければなりません。検索機能などの機能が入っていないサイトというのは今どき珍しいので、基本的には複数年に渡って費用計上する必要があります。

Webサイトにおいて、AとBを分けて把握することが困難なケースも多いため、5年で償却されるケースが一般的です。

このように、原則に従うとサイト購入費用は5年に渡って償却する必要が出てきてしまい、短期的な節税効果は必ずしも強くないといえます。しかし、例外もあります

例外①購入したサイトが10万円未満の場合

取得価額が10万円未満のものは、減価償却の必要がなく、その年の費用として計上できます。

例外②購入したサイトが10万円以上、20万円未満の場合

少額資産として3年での減価償却が認められています。

例外③中小企業者等が30万円未満のサイトを購入した場合

平成18年4月1日から平成32年3月31日までに取得した減価償却性資産について、中小企業者等は一括償却することが認められています。青色申告していることや、年300万円までという制限はありますが、逆にいうと、30万円のサイトを10個購入した場合でも全てその年の費用として計上できる可能性があります。

例外④非ソフトウェア部分を毎年改修する必要がある場合

購入したサイトを毎年大幅改修する場合には、『本来の使用期間は1年であり、改修して使用期間を延ばしている』と主張できます。その場合、Aの部分についてはその年の費用計上が認められる可能性があります。

そもそもどのようにしてサイトを非ソフトウェア部分とソフトウェア部分に分けるのかという問題はありますが、売主側でソフトウェア部分を会計上計上している場合はその額をソフトウェア部分として申告できる場合があります。最近では検索機能くらいのシステムであれば開発も購入もせずに導入できる場合があります。その場合は、機能の原価がゼロであると証明することも有効と思われます。

法人が会社ごと買収した際の税金

税務会計上は、買収する企業が買収される企業の資産・負債を引き継ぐため、サイト自体は資産計上あるいは費用計上することはありません。買収される企業に繰越欠損金がある場合等は、一定の要件を満たせば節税効果が見込まれます

個人がサイトだけ購入した際の税金

事業用にサイト買収している場合、個人事業主として確定申告することにより、基本的には法人と同じです。通常、収益性があるサイトを購入しているはずですので、確定申告は義務となります。確定申告時にサイト購入費用を申告することで税負担を減らすことができます。

例外として以下の場合は確定申告不要です。
例外①:サイト運営とその他の所得が20万円未満の給与所得者
例外②:サイト運営とその他の所得が38万円未満

個人が会社ごと購入した際の税金

通常の株式購入と同じで、サイト購入代金は費用計上されません

個人が会社ごと売却した際の税金はこちら

サイト売買における売主の税金

・法人については売却したサイトは全て収益(益金)となる
・会社ごと売却した方が税金面で有利なケースも
・個人については基本的に譲渡所得となる

法人がサイトだけ売却した際の税金

原則、全て収益(益金)となり、その年の法人税等の対象となります

資本金1億円以下の外形標準課税不適用法人の場合の実行税率は約37%で、資本金1億円超の外形標準課税適用法人の実効税率は約31%となっています。

法人(の株主)が会社ごと売却した際の税金

会社の株式を売却して所得を得た株主に対し、所得税が15.315%、住民税が5%の計20.315%の税金が発生します。

サイト売却額を株主に分配するという目的においては、サイトだけ売却する事業譲渡よりも、会社ごと譲渡した方が有利なケースが多いです

ただし、税務申告を依頼する場合には、納税コストがかかるケースもあるので、ライフサイクルコストを計算して、どのようにするか検討しましょう。

個人が会社ごと購入した際の税金はこちら

個人がサイトだけ売却した際の税金

個人が資産を譲渡した場合、原則として譲渡所得となります

ネット上の情報では、サイト売買を継続的に場合は事業と見做され、事業所得になると述べられていることがありますが、正しい説明ではありません。

原則は譲渡所得で、例外的に事業所得になるのは、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料などの棚卸資産を譲渡した場合の所得等です。サイト売買に置き換えると、サイト作成費用を棚卸資産として計上している場合や、サイトを売る目的で買収してその費用を棚卸資産として計上している場合等です。

詳しくは国税庁のサイトご覧下さい。

継続的なサイト売買目的でサイトを作成・所有している場合、サイトは商品(棚卸資産)として計上されることが一般的なため、結果として売却時は事業所得になるケースが多いというのが正しい説明です。

別の言い方をすると、自身の運営用に多数のサイトを作成し、その後何らかの理由で全て売ってしまった場合等は、サイト売買自体は複数回発生しますが、事業所得にはならない可能性が高いです。

土地建物や株式を除く譲渡所得は、所有期間が5年以内の場合は短期事業所得となり、給与所得や事業所得と合わせて総合課税制の下、所得税の対象になります。5年を超える場合は長期事業所得となり、1/2が総合課税の対象となります。結局最後は事業所得と合わさり、所得税がかかるわけですが、譲渡所得には50万円の税控除を受けられるというメリットがあります(事業所得にも青色申告特別控除はありますが、やや難易度が高いです)。

上記の通り、5年を超えて保有する長期事業所得は半分しか総合課税の対象にならず、且つ、税控除もあるため有利となります。

譲渡所得の計算方法は以下の国税庁のサイトをご覧下さい。

所得税は以下のように累進課税で、所得が大きければ大きいほど税額が上がります。これに、住民税10%や個人事業税4%加わります。

課税される所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円〜330万円 10%
330万円〜695万円 20%
695万円〜900万円 23%
900万円〜1,800万円 33%
1,800万円〜4,000万円 40%
4,000万円〜 45%

最後に

この記事では、サイト売買に関する税金について、買主なのか売主なのか、法人なのか個人なのか、サイトだけ買うのか会社ごと買うのかにわけて説明しました。

実際の税務上の取り扱いについては、各会社の状況やサイトの内容によっても異なりますので、信頼できる仲介業者を通じて情報を収集し、最終的には税務署や税理士などの税務の専門家に相談することをおすすめします。

監修者情報
税理士の長谷川先生
税理士・東京福祉大学兼務講師
長谷川記央
長谷川税務会計事務所
顧問税理士として企業に税務のアドバイザリーを行う傍ら、月刊税務事例や租税訴訟学会誌等へ論文の寄稿や、税務会計研究学会や日本経営会計学会等での研究発表を多数行っている。最新の税務・会計知識の実務への導入に強みを持つ。

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