サイト売買が一般的にビジネスとして成立し始め、サイト売買の仲介サービスが登場し出したのは2005年ごろ。
まだまだ新しい業界ではありますが、ここ数年でウェブサイトの価値が事業的にも資産的にも高まっているにつれて、サイト売買業界も盛り上がりを見せています。
当記事ではサイト売買・サイトM&Aについて、価格や手順までをわかりやすく徹底解説します。
目次
サイト売買・M&Aとは
サイト売買、またはサイトM&Aとは、その名の通り、企業や個人が運営しているウェブサイトやウェブコンテンツを売買することです。ウェブコンテンツには、各種SNSのアカウントも含まれます。
サイト売買は、事業の方向転換や資金調達など、様々な理由から自社、あるいは自身のウェブサイトを売却したい企業や個人と、最初からウェブサイトを作るよりも、既に実績のある優れたウェブサイトを買収して運営したほうが効率が良いと考える企業や個人のニーズがマッチすることで成立します。
ウェブサイトの価値は、主に収益性、アクセス数、閲覧数、会員数、検索結果やページランク、ドメイン、ウェブサイトのジャンルなどによって判断されます。
もちろん例外も多々ありますが、一般的には、ウェブサイトの月間営業利益(直近半年の平均値)×15ヶ月分くらいが譲渡金額の相場だと言われています。例えば、月間営業利益が20万円のサイトであれば、300万円の譲渡金額が見込めるということになります。
ウェブサイトは無形の資産であり、水物であるがゆえに、売り手側と買い手側、双方にそれ相応の専門的な知識やスキルがないと公平かつ安全な取引を行うことは難しいため、サイト売買を専門とした仲介サービスの需要も年々高まっています。
個人間での売買においては、契約書の内容や説明されたウェブサイトと実際のウェブサイトとのギャップをめぐるトラブルが後を絶ちません。
このように、サイト売買にはリスクがつきものではありますが、リスクを上回るメリットがあるのもまた事実です。例えば、ある程度の利益が出るウェブサイトの作り方を習得すれば、ウェブサイトの制作と売却を繰り返し、コンスタントに多額の利益を得ることが可能になります。
また、買い手側も、経験を経てウェブサイトの目利きができるようになり、買収したウェブサイトの運営やより良くするためのリニューアルのノウハウを蓄積することができれば、貴重な時間やリソースを割かずとも、既に力のあるウェブサイトを低価格で手に入れることができます。
「安く買い、高く売る」ことで資産を得ることができるサイト売買は、今後もいっそう発展し、ポピュラーになっていく業界であると言えるでしょう。
サイト売買、サイトM&Aの方法

サイト売買の方法には、主に仲介サービスを使わず、個人間で売買する方法と、仲介サービスを使用する方法との二つがあります。
個人間で売買する場合、手数料がかからないというメリットはありますが、最初から最後まで自己責任で行わなければならないため、手間がかかりますし、その分リスクも高くなります。よほど取引相手が信頼できる場合でない限り、個人間での売買はあまりおすすめできません。
なにより、個人間で売買する場合、売り手側は売りたいウェブサイトの評価を自分で行い、自分で売却価格を決めなければならないため、適正な値段よりも安い値段で売ってしまうかもしれません。
また、買い手側も、自分の目で買収したいウェブサイトの価値を見定めねばならず、ウェブサイトを相場以上の価格で買ってしまったり、構造に問題があるウェブサイトをそうとは気づかず買ってしまう恐れがあります。
仲介サービスを利用すれば、貴重な時間を割くことなく、安心、安全にサイト売買をすることができます。経験豊富なスタッフが売却したいウェブサイトの査定をしてくれますし、売り手側と買い手側のやり取りや交渉も任せることができます。つまり、売り手側はウェブサイトの情報を登録するだけで、買い手側は買収したい意思を伝えるだけでいいのです。
手数料はかかりますが、適正な価格で売却できないリスクや、価格に見合った価値のないサイトを買収してしまうリスクを考えると、手数料を払ってでも仲介サービスを利用するほうがいいでしょう。
また、「エスクローサービス」を利用することができるのも、仲介サービスを利用するメリットです。「エスクローサービス」とは「第三者預託」のこと。サイト売買に関する契約を締結した後に、仲介サービスが買い手から譲渡金を一時的に預かり、すべての取引が無事に終わった後に預かっていた譲渡金を売り手に振り込むというシステムで、金銭的なトラブルをや詐欺を未然に防ぐことができます。
<仲介サービスを利用したサイト売買の流れ>
- 売却したいウェブサイトの情報を登録する
- ウェブサイトの査定を待つ
- 査定が終わり、仲介サービスに情報が掲載される
- 買い取りの希望があった場合、条件や金額を交渉する
- 交渉がまとまったら、契約書を締結する
- 買い手は仲介サービスに譲渡金を支払う
- データの移行やドメインの移管を行う
- ウェブサイトの検収期間を経て、問題がなければ売り手は譲渡金を受け取る
※契約内容によっては、売り手がしばらく譲渡したウェブサイトのアフターケアを行う場合がある。
サイト売買、サイトM&Aのメリット・デメリット

売り手側のメリット・デメリット
当然のことですが、売り手にとって、まとまった資金を調達できることがウェブサイトを売却する最大のメリットです。月間営業利益が30万円あるECサイトなら、低く見積もっても360万円、高ければ720万円ものキャッシュが手に入ります。ウェブサイトの制作には時間と費用がかかりますが、スキルを磨き、経験を積むことでより効率よく価値のあるウェブサイトを制作できるようになれば、更に収益がアップします。
また、複数のウェブサイトを運営している場合には、事業を整理したり、新事業を立ち上げるためにウェブサイトを売却するというケースもあります。
自分で作ったウェブサイトを売却するのは名残惜しくもありますが、ウェブサイトを売却する最良のタイミングは、ズバリ自分が売りたくない時です。PV/UUが多い、売上が好調、将来性がある、そういった状態のウェブサイトを売却すれば、相場より高い値段でもすぐに買い手が付きます。売り時を誤ってしまうのが一番の悲劇なので、売却を考えている場合はタイミングを逃さないようにしましょう。
売り手のデメリットは、譲渡金の未回収が挙げられます。理由は様々ですが、そのような事態にならないためにも、上手にサイト売買の仲介サービスを利用しましょう。契約書の締結やエスクローサービスの利用によって、とういったトラブルを回避できます。
買い手側のメリット・デメリット
買い手のメリットは、既に力のある優れたウェブサイトを手に入れることができることでです。一定の収入を確保できるのはもちろんのこと、管理画面や運営方法も譲渡されますので、ウェブサイトに関する貴重なノウハウが一気に手に入ります。本来、ウェブサイトの制作には莫大な費用と時間がかかりますから、これはかなりお得です。
また、サイト買収はその他の投資手段に比べ、回収期間が圧倒的に短いという特徴があります。買い手に事業シナジーやSEO、収益化ノウハウなどがある場合には、数ヶ月で投資額を回収できることもあります。
投資対象と投資回収期間例
投資対象 | 投資額 | 収益性(投資回収期間) |
---|---|---|
都内ワンルームマンション | 数千万 | 20年 |
企業買収(株式投資) | 数千万~数億 | 7~15年 |
設備投資 | 数百万~数億 | 3-5年 |
サイト | 数万~数億 | 1.5~2年 |
※各種数値は案件によって異なります
また、ウェブサイトの購入費用は経費として計上することができるため、節税対策にもなります。ただし、状況によりますので、必ず税理士に確認するようにしてください。
デメリットは、売り手から事前に説明を受けていたウェブサイトと内容が違うといった詐欺まがいのトラブルに巻き込まれたり、購入前はレベルの高いウェブサイトだったものの、購入後にGoogleのアルゴリズム変動によって検索順位が一気に下落するというリスクが伴うことなどが挙げられます。
なかには、ASPから借りているウェブサイトを、まるで独自のシステムであるかのように見せかけて売りつけてくるケースや、最初から詐欺目的で近づいてくる者もいます。
取引相手と親しい、あるいは自分の知識に自信がある場合は構いませんが、基本的には仲介サービスを利用することでリスクヘッジしましょう。ただし、仲介サービスを選ぶときも、どのようなサポートをしてくれるのかをきちんと確認すること。
サイト売買、サイトM&Aの相場
売買するウェブサイトの価値は、主に収益性、アクセス数、会員数、検索結果やページランク、ドメイン、サイトのジャンルなどの要素で決まります。
つまり、それぞれのウェブサイトによって査定額は異なりますので、明確な相場というものはありませんが、一般的には、ウェブサイトの月間営業利益(直近半年の平均値)×15ヶ月分くらいが譲渡金額の相場だと言われています。
数年前までは、月間営業利益×6〜12ヶ月分が譲渡金額の相場だと言われていましたが、2018年以降は度重なるGoogleアルゴリズムのアップデートの結果、サイトごとに評価額が大きく異なる状態です。今では月間営業利益×7〜30ヶ月分くらいで成約するケースが多いです。
その他、圧倒的なブランド力があるウェブサイトや、将来性が見込めるウェブサイトは更に金額が上がることもありますし、買収する側がすでに運営しているウェブサイトとの相乗効果が期待できるウェブサイトである場合にも、同様のことが言えます。場合によっては、全く売上がないサイトでも高い価格が付く場合もあります。
反対に、現状では高い利益を出しているが伸びしろがないウェブサイトや、構造に問題があるウェブサイトは、譲渡金額が低くなる、あるいは買い手がつきにくい傾向にあります。
ジャンル別の相場は以下の通り。
ジャンル | 相場 |
---|---|
アフィリエイトサイト | 月間営業利益平均×7〜20ヶ月 |
ECサイト | 月間営業利益平均×10〜20ヶ月 |
マッチングサイト | 月間営業利益平均×24〜36ヶ月 |
ポータルサイト | 月間営業利益平均×36〜60ヶ月 |
相場の詳細や事例は以下の記事でより詳細に解説しています。
サイト売買相場の種類別まとめ。無料査定も!【アフィ・EC・ブログ】
https://ureba.jp/magazine-price/
市場価値の高いサイトとは
ウェブサイトは無形資産ですので、一概に言うことはできませんが、サイト売買市場において高く評価されるウェブサイトの傾向はある程度決まっています。
●月間営業利益が30万円以上ある
●アクセスユーザーやPV/UUが特化している
●サイト買収先にとってシナジー効果が見込めるジャンルである
●リスティング広告において高額なワードに特化している(保険、キャッシング、ダイエットなど)
※リスティング広告に掲載されると、「○○ 評判」といったワードで検索されることが多いため。
一方、次のようなウェブサイトは評価が低くなります。
●アダルトサイトや違法性の高いウェブサイトである
●社長やオピニオンリーダーなど、著名な人物の名前によって売上やアクセス数が伸びている
※運営する人物が変更になることによって、売上やアクセス数が低下する可能性が高いため。
●独自ドメインではなく、サブドメインである
※ドメイン提供者が第三者への譲渡を禁止している場合が多いため。
また、個人ブログは売却することができないケースが多く、Google AdSenseでの収益がメインであるウェブサイトの場合、譲渡した後、別のアカウントで申し込みをしても審査で通らない場合があります。
サイト売買、サイトM&Aの成功例・失敗例
具体的なサイト売買の成功例、失敗例をご紹介します。
既に買い手が運営しているウェブサイトとのシナジー効果が期待できたため、相場よりも高い譲渡価格で交渉が成立した。
買収後、実際にシナジー効果が発揮され、サイトのリニューアルもうまくいったので、譲渡価格を予定よりも数ヶ月早く回収することができた。
これは、売り手、買い手共に成功したケースです。買い手側が買収後のビジョンをしっかりと描いていたこと、サイトリニューアルのノウハウを持っていたことが成功した要因です。既に行っている事業との関連性だけでなく、PV増加ノウハウや収益化ノウハウを持っている場合もサイト買収の成功可能性は上がります。
相場よりも高い価格だったが、今後、売上が今よりも更に上る予定だと説明されたので購入した。ただし、売上が上がる具体的な理由は提示されなかったし、確認も怠ってしまった。
結局、買収してから数ヶ月後にGoogleのアルゴリズム変動によってウェブサイトの検索順位が急落してしまい、売上は半分以下になってしまった。アフターフォローもしてもらえなかった。
これは、買い手が一方的に損をしてしまったケースです。買い手側が、熱意だけの、根拠のない売り手側の営業トークを鵜呑みにしてしまい、ウェブサイトの実態を確認することや、契約書の内容を吟味することを怠ってしまったことが失敗の原因です。
その他の失敗事例や対策は以下の記事でより詳細に解説しています。
サイト売買に起こりがちな失敗例13選!気を付けるべきポイントまとめ
https://ureba.jp/magazine-example/
サイト売買、サイトM&Aの際に注意すべきこと
売り手、買い手に共通して言えることは、とにかく両者間の認識に齟齬が生じたり、どちらかが一方的に損をしたり、詐欺の被害に遭ったりしないように気をつけてもらいたい、ということです。そのためにも、仲介サービスにサポートしてもらうのはもちろんのこと、自分自身でも注意すべきポイントをしっかりと抑えておく必要があります。
まず、契約書は慎重に作成し、お互いに納得がいくまで確認してから締結しましょう。なにを当たり前のことを、と思われるでしょうが、契約書に関するトラブルは頻繁に起こっています。
譲渡される範囲が内容が認識していたものと違う、事前に説明を受けていたウェブサイトのパフォーマンスが実際のものとかけ離れている、アフターフォローをしてもらえると思っていたのにしてもらえなかった、というようなケースは、時に訴訟に発展してしまうこともあります。
現在の日本にはサイト売買業界に関する法律は存在しませんが、「個人情報保護法」、「瑕疵担保責任」、「競業避止義務」などがサイト売買における契約書の作成に関わってきますので、調べてみてください。
契約書を交わすだけでなく、ウェブサイトの情報が説明された内容で本当に正しいのか、自分自身でGoogle AnalyticsやSearch Consoleを確認したり、管理画面や、売上が入金されている通帳のコピーなどをもらって確認することも重要です。
なお、ウェブサイトを売却した後に、同様、または同ジャンルのサイトを作ることは先ほど名前を挙げた「競合避止義務」などに違反するので気をつけましょう。どうしても作りたい場合は、譲渡する前に買い手と相談するか、ある程度期間を開けてから制作するようにしてください。
また、サイト仲介サービスの中には、ただ情報を提供しているだけでサポートを一切しないのに、成約報酬はきっちりもらう、という詐欺まがいの業者もありますので、上辺の情報だけで仲介サービスを選ぶのではなく、実際にどのようなサポートをしてもらえるのか、一度問い合わせてみましょう。
その他の参考リンク
アフィリエイト業界の重鎮、アフィリエイト専門大学ALISAを運営されている株式会社Smartaleckの河井大志様のウェブサイトでもUREBAをご紹介頂きました。
サイト売買 | アフィリエイトサイト売却と買収のプロが語るアレコレhttps://www.smartaleck.co.jp/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E5%A3%B2%E8%B2%B7/
参考:サイト売買とは?売買の流れとメリット・デメリットを解説
オンライン事業の売買ならラッコM&A

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