サイト売買、またはサイトM&Aがビジネスとして成立し始めたのは2005年頃のことです。国内では2003年に楽天が宿泊予約サイト「旅の窓口」を323億円で買収した例、国外では2006年にGoogleが動画投稿サイト「YouTube」を16.5億ドル(約2,000億円)で買収した例などが有名です。
サイト売買業界が一般化したことにより、近年ではこのような大規模な売買だけでなく、数十万円から数百万円といった小規模な売買が頻繁に行われています。小規模とは言え、なかには1,000万円を超えるサイトもあり、まとまった資金の調達や事業の整理を目的としてサイトを売却する企業や個人が年々増えています。
それでは、サイト譲渡金額の相場はどのようになっているのでしょうか。
当記事ではサイト売買相場をWEBサイトの種類別に解説します。
目次
サイト売買、サイトM&Aの相場とは
結論から申しますと、明確な相場はありません。サイトは無形の資産であり、水物です。収益性やアクセス数など、様々な要素からサイトを査定しますから、その価値は正に千差万別と言えます。
しかしながら、一般的に考えて、この希望価格なら買い手がつくだろう、と思われる基準というものは確かに存在します。参考程度にはなりますが、サイトのジャンル別の相場は以下の通りです。
ジャンル | 相場 |
---|---|
アフィリエイトサイト | 月間営業利益×7〜20ヶ月分 |
ECサイト | 月間営業利益×10〜20ヶ月分 |
マッチングサイト | 月間営業利益×24〜36ヶ月分 |
ポータルサイト | 月間営業利益×36〜60ヶ月分 |
ブログ | 月間営業利益×7~30ヶ月分 |
*月間営業利益は、直近半年の平均値とする。
(2019年7月現在)
数年前までは、月間営業利益×6〜12ヶ月分が譲渡金額の相場だと言われていましたが、2018年以降は度重なるGoogleアルゴリズムのアップデートの結果、サイトごとに評価額が大きく異なる状態です。今では月間営業利益×7〜30ヶ月分くらいで成約するケースが多いです。
売り手と買い手が何度か交渉し、お互いが納得のいく金額が最終的なサイトの譲渡金額になりますので、最初は相場、あるいは査定結果よりも高い価格に設定しておくのもいいでしょう。もし、何らかの理由で早期売却を望む場合は、相場や査定結果よりも安い価格に設定すると、比較的早く買い手がつきます。
サイトM&Aの流れや注意点については、こちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:サイトM&Aとは?売買相場や失敗例を紹介!流れや注意点も解説!|株式会社パラダイムシフト
https://paradigm-shift.co.jp/media/sitema/
サイトのジャンル別相場

アフィリエイトサイト
月間営業利益×7〜20ヶ月分
アフィリエイトサイトの売買においては、扱っている商材が重要になります。誰もが知っているような商材であれば今後も案件が続く期待ができますが、マイナーな商材だと、サイト買収後に案件がなくなってしまうリスクがあります。
また、アフィリエイトサイトに限った話ではありませんが、被リンクの数もサイトを査定する上で大切な要素となります。アフィリエイトサイトの譲渡金額の相場は月間営業利益×18〜24ヶ月分と言われていますが、被リンクの数が多く、質も高い場合、月間営業利益×24〜36ヶ月分でも買い手がつく傾向にあります。
アフィリエイトサイトの売却例①
売却価格:250万円
月間営業利益:13万円
PV:19万PV
漫画に特化したVODのアフィリエイトサイト。一つのカテゴリに特化していたこと、検索順位が高かったことなどが評価された。
アフィリエイトサイトの売却例②
売却価格:2,500万円
月間営業利益:85万円
PV:50万PV
様々なジャンルを取り扱うアフィリエイトサイト。10年近く赤字なしで運営し続けてきた実績が評価された。
ECサイト
月間営業利益×10〜24ヶ月分
ECサイトは、買い手側にサイトそのものだけでなく、在庫、仕入先や外注先、商標権、顧客リスト、運営ノウハウなども譲渡しなければなりません。そのため、コンテンツサイトに比べると譲渡のハードルがやや高いと言えます。
しかし、月間営業利益が担保されている、あるいはサイトの構造が整っていて伸びしろがあるECサイトは高く評価されます。月間営業利益×10〜24ヶ月分がECサイトの相場とされていますが、ブランド力や集客力が高ければ、譲渡金額が30ヶ月分ほどになるケースもあります。
ECサイトの売却例①
売却価格:500万円
月間営業利益:30万円
PV:7,000PV
女性向けファッションアイテム専門のECサイト。毎月の営業利益が安定しているだけでなく、今後も順調に推移していくであろうことや、各種SNSのフォロワー数が多いことなどが評価された。
ECサイトの売却例②
売却価格:800万円
月間営業利益:40万円
PV:2万PV
トラベル用品専門のECサイト。取り扱っているのが一つの老舗メーカーだけであり、専門性が高かったこと、在庫リスクが全くない運営フローであること、現状テコ入れができていないため、伸びしろがあることなどが評価された。
マッチングサイト
月間営業利益×24〜36ヶ月分
マッチングサイトは、サイトリリースまでに膨大な時間と費用がかかるため、既に完成された状態を買収したほうが合理的だと考える個人や企業が多く、売却の需要があります。譲渡金額の相場は、月間営業利益×24〜36ヶ月分とされています。
より充実したマッチングサイトにするためには、電話での受付や営業ができる人材が必要になることもあり、個人が所有していたサイトが企業に買収される、というケースが多いようです。
マッチングサイトの売却例①
売却価格:20万円
月間営業利益:3,000円
PV:2,000PV
個人が運営している家庭教師と生徒のマッチングサイト。マッチングサイトに必要な要素が全て揃っている割には低価格だったことと、個人が運営していたためSEO対策など手が回っていない箇所が多く、今後発展させる余地がじゅうぶんにあることなどが評価された。
マッチングサイトの売却例②
売却価格:50万円
月間営業利益:6万円
PV:2万PV
個人が運営している起業家と投資家のマッチングサイト。起業家と投資家のマッチングのニーズは今後も増えていくことや、マッチングサービスだけでなく、コラムなどコンテンツが充実していることが評価された。
ポータルサイト
月間営業利益×36〜60ヶ月分
ポータルサイトは、マッチングサイト以上に時間も費用もかかるため、一概には言えませんが、譲渡金額の相場は月間営業利益×36〜60ヶ月分と、サイト売買業界において最も相場が高いジャンルとなっています。
その反面、ポータルサイトは取り扱っている内容や運営形態などによってその実態が大きく変わるので、買収する際には特に慎重な判断が必要になります。
ポータルサイトの売却例①
売却価格:1,400万円
月間営業利益:30万円
PV:100万PV
無料でイラストをダウンロードすることができるポータルサイト。PVのボリュームや、40,000人に近い会員がおり、毎日50〜100人会員数が増えていっていることなどが評価された。
ポータルサイトの売却例②
売却価格:50万円
月間営業利益:3万円
PV:1,500PV
女性をターゲットにした恋愛に関するポータルサイト。運営を開始して間もないサイトではあるが、収益モデルがある程度確立されていることや、記事のコンテンツが揃っていること、手を入れやすい状態であることなどが評価された。
ブログ
月間営業利益×7ヶ月~30ヶ月分
ブログは、リアルな体験談、あるいは優れた被リンクを手に入れられるため、サイト同様に市場価値があります。ブログの譲渡金額の相場は、月間営業利益×7ヶ月~30ヶ月分と言われています。
アフィリエイト広告を一切入れていないなど、収益改善余地が大きい場合には月間営業利益の30ヶ月分などの高値が付くケースがあります。
ブログの内容や文体があまりに個性的だと、譲渡後の運営が難しいと判断されるため、買い手に嫌煙されることも少なくありません。また、個人の持ち物ではない無料ブログは譲渡することができませんので、無料ブログを譲渡したい場合は、レンタルサーバーを借りて独自ドメインを取得し、WordPressなどで運営するようにしましょう。
ブログの売却例
売却価格:400万円
月間営業利益:14万円
PV:80万PV
ニュース、芸能情報を取り扱っているブログ。圧倒的なPVのボリューム、1,000を超える記事数、更新しやすいジャンルであることなどが評価された。
CGMサイト
CGMサイトは仕組みさえ完成していれば運用する手間が比較的かからないため、内容が充実していれば、月間営業利益が少ない、あるいは0円である場合にも買い手がつくことがあります。
CGMサイトの売却例
売却価格:1,500万円
月間営業利益:7,000円
PV:22万PV
ワインに特化したCGMサイト。テイスティングの投稿が7万件以上、世界各国のワイナリー情報が1,000件以上というコンテンツ量の多さと、メディアにも取り上げられたことのある実績が評価された。
Amazonセラーアカウント、YouTubeチャンネルアカウント
サイト売買業界では、AmazonアカウントやYouTubeアカウントも取引されています。一般的なサイトと同様、月間営業利益×10〜20ヶ月分くらいの譲渡価格が相場と言われています。過去にアカウント停止処分を受けていないこと、特定のカテゴリに強いこと、アカウントに対する第三者からの評価が高いことなどが査定の基準になります。
また、アカウントだけでなく、アカウントの運用方法に関するノウハウ、例えばAmazonセラーアカウントであれば商品の仕入れ方や発注方法、YouTubeチャンネルアカウントであれば動画の作り方や集客の仕方なども譲渡する内容に入っていると、より価値が高まります。
※YouTubeアカウントは利用規約上は譲渡はできません。ただし、名義の変更はできたりします。アカウント停止など、何が起こるかわからないため、UREBAでは譲渡はおすすめしていません。
Amazonアカウントの売却例
売却価格:50万円
月間営業利益:6万5千円
CD、DVDを中心に出品していたAmazonセラーアカウント。ユーザーからの評価数が高くこと、アカウント停止処分などのペナルティを一切受けたことがないこと、出品できるカテゴリーが多いことなどが評価された。
高く売れるサイトとは

サイトのアクセス数が多い
PVやUUが多ければ多いほど、サイトの価値は高まります。ユーザーに評価されているか、人気があるコンテンツかどうかのわかりやすい指標になりますし、Google AdSenseなど、クリック課金型広告が収入源である場合にはそのまま売上に直結します。
もちろん、PVやUUが必ずしも収益モデルに関係しているサイトばかりではありませんが、多くて悪いことはないので、サイト売却を考えている場合は必ず意識するようにしましょう。
サイトの収益力が高い
サイトの収益力、即ち営業利益が高ければ、それだけ早く投資額を回収できますから、買い手側の評価は必然的に高まります。
また、少しのテコ入れで大きな利益を得られる可能性を秘めたサイトも、既にある程度のノウハウを蓄積している買い手からは人気です。
集客が優れている
ここでいう集客は、検索エンジンからの「自然検索」、リスティングなどの「広告集客」、FacebookやInstagramなどの「SNS集客」のことです。
検索順位が高ければ高いほど評価されますが、Googleアルゴリズムの変動によっていつ順位変動が起こるかわからないため、現状の検索順位だけでなく、SEO対策がきちんとされているかもチェックされます。
広告集客に関しては専門的な知識を要するため、サイトを譲渡する際に、広告集客のノウハウも一緒に譲渡するケースが多いです。
SNS集客も、大切な集客方法の一つです。公式アカウントがコンスタントに更新されており、フォロワー数も多く、影響力があるものであれば、サイトの価値を高める要素となります。
ニーズが高いジャンルである
買い手にとって、最も重要なのがサイトのジャンルだと言えます。美容、健康、不動産、金融、FXなどは不動の人気です。また、買収先のサイトとシナジー効果が期待できるジャンルであれば、相場以上の価格で売却できるかもしれません。
アダルトサイトや違法性、犯罪性の高いサイトは買い手がつきにくく、仲介サービスによってはそもそも掲載させてもらえないこともあります。
競合性が高い、または低い
競合性が高いサイトであれば、業界の中で最も力の強いサイトがシェアを拡大するために相応の値段で買収されるかもしれません。あるいは、競合性が低いサイトの場合、シェアを独占するために買収されるということも考えられます。
どちらに転ぶかは未知数ですが、自分のサイトの競合性を理解しておくと面白いでしょう。
売上が0のサイトでも売れるのか?
結果から申しますと、売れます。高く売れるサイトとはでも紹介したように、売上がなくても、アクセスが多い、集客力がある、ニーズが高いジャンルであるといった特徴があれば、サイトを売却することは可能です。
そういったパワーを持っているサイトを最初から作るには、時間も費用もかかります。また、専門的な知識も必要です。それなら、既に優れているサイトを買収して、少しずつリニューアルをするなり、運営ノウハウを身につけるなりするほうがよっぽど効率的だ、と考えるサイト運営者や企業は少なくないのです。
また、既にいくつかのサイトを運営している場合、それらのサイトとの相乗効果が見込めるサイトであれば、売上に関係なく買収するメリットがあります。
無料査定
このように、サイトの売買においてはなにが有利に働くかわかりませんので、サイトを売却したいと思ったら、まずは仲介サービスに登録して査定をお願いしてみると良いでしょう。
UREBAの無料査定は以下からお申込み下さい。
参考:サイト売却の相場は?高く売れるサイトの特徴・種類別の売買相場
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